桂 花団治の『人権落語』開催

寒さが日に日に増してきた11月29日(水)午後2時から3時半まで、東部地区市民センターにおいて、人権啓発部会並びに東部地区草の根運動推進会議主催で、落語家桂花団治さんをお迎えし、「落語のまなざし~ぼくは”笑い”に救われた~」という演題で人権落語講演会が開催されました。当日は48名の方が来場されました。

花団治さんは、小学校時代、まわりの子供達との違いからよくいじめにあい、からかわれたり笑われたりしたそうです。ある日、クラスのお楽しみ会で漫才を披露すると、とても大きな笑いが起こりました。「こんなにみんなが笑ってる!」それは「蔑まれた」笑いではなく、自分が主体的に何かを伝えることで届けられた「笑い」でした。花団治さんは、その時に感じた爽快感、達成感が忘れられず、人を笑わせたいと思い、笑いの道を進み始めます。その後高校の先輩に誘われ落語と出会います。初めて見た落語は「なんてあったかいんやろう。」と感じたそうです。なぜなら落語では、失敗したりうっかりしたりしている人物を「しゃーないやっちゃなあ、相も変わらずおもろいなあ。」と「疎外することなく受容」していたからです。「こんなあったかい世界はない!」と思い、どんどん落語の世界にのめり込んでいき、落語家になられたそうです。

講演の中では、初めて聞いた落語「明礬丁稚」や師匠2代目桂春蝶さんから受け継いだ「昭和任侠伝」などの演目を披露してくださいました。また、講演途中には花団治さんが落語の道を進む上で学んだ狂言の発声法でセリフの言い回しを練習したり、狂言独特の笑い方で笑ってみたりと、観客の皆さんが参加し楽しむ場面もありました。講演後には、お楽しみ抽選会があり、当選者には花団治さんのサイン入り色紙画が贈られました。会場は、終始和やかな雰囲気に包まれ、たくさんの笑いがあふれていました。

私たちは今、多様な社会の中で生きています。落語のまなざしから学ぶことは、「他者を疎外するのではなく受容すること」私たち一人ひとりの行動が、互いに安心して過ごせる地域社会を作っていきます。互いの違いをからかったり否定したりするのではなく、互いを知り、違いを認め合い、みんなで「あったかい笑い」であふれる地域社会を目指していきたいです。